庖丁講座のレポート
2015年 09月 06日
レポート、少し長くなりますがお読み頂けたら嬉しいです。
今回お呼びした京都の「食道具 竹上」の廣瀬さんのお仕事は、それぞれ分業された職人さんの仕事を一つにまとめ、バランスよく程よい重さのある庖丁を作ることです。
刃の形状、角度、歪みがないかをチェックするだけでなく、焼きをあと2秒長くしてほしいと指示するなど、非常に繊細な感覚で仕上げられています。
今回「庖丁の文化と正しい研ぎ方と選び方、料理が美味しく愉しくなるお手入れの方法」と題して講演頂きましたが、単に「包丁の研ぎ方」というノウハウの話であればネットでも調べることも出来ますが、廣瀬さんのお話はもっと深いところ、「心を寄せる」ところから始まります。
料理を美味しくすることは器とも深い繋がりがあり、この度の講演も大変ご興味を持ってお受けくださいました。
「管理と守り」、その違いは対象に対しての愛情であり、道具も食材も人も同じ、日々心を寄せて愛情を注がれたものは必ず応えてくれるということがその真髄のように思いました。
守りとは過保護に手を掛けすぎることではなく、常に様子を見ながら適切なところで世話をしてやることなのですね。
料理は素材、出汁が一番といいますが、まずその素材を活かすためには良い道具を使うこと。道具によっては、逆に素材の良さを殺すこともあります。
「昨今、ご家庭の庖丁はステンレスのものが多いですが、是非鋼のものをお使い頂きたい」
とお話しになるのは、金属の性質から刃の硬さと角度が違うこと、お料理を美味しくする切れ味は、その刃の角度の鋭さから生まれるものだからだそうです。
※切れ味と手入れのしやすさを同時に実現するために、鋼をステンレスで包んだ、刃先のみ鋼の庖丁も作られています。背まで鋼が入っているので、最後まで切れ味の良さが続きます。(税別13500円前後)
http://kyototakegami.com/item/%e4%b8%89%e5%be%b3%e8%8f%9c%e5%88%87
良い庖丁とは、庖丁そのものが良ければいいものではなく、手入れや守りのできる、身の丈にあったものを選ぶ必要があることも学びました。
廣瀬さんがご家庭にお薦めされる庖丁は、軟鉄と鋼を合わせて研ぎやすくしたものです。
一流の料理人が使うような鋼のみの高価な本焼き庖丁を一般の方が使っても、最初は切れても研ぐには高い技術が必要で、日々の守りをすることができないのですね。
道具選びとは、非常に繊細なものなのですよね。自分が道具を選んでいるようでいて、実は道具に選ばれているのではないか、そのような気もしました。
この度参加してくださった方々から、
「目から鱗が落ちる思いだった」「これからの人生が変わるくらい良かった」
など、嬉しい言葉をたくさん頂戴しました。
私自身もお聴きしたのは二度目でしたが、また感動しています。一度目とはまた違う、二度目の感動がありました。何度も講演に参加されているという方のお気持ちがわかります。
最初に「庖丁をまとめ上げ作るお仕事」とご紹介しましたが、それだけではない「日本文化の素晴らしさを伝えるお仕事」がその本質なのだと思います。
「素材を活かすと云うことは、食べ物の命を大事にすることに繋がり、更にはそれを作る生産者さんや漁師さんを大切にすることに繋がります。
和・日本の素晴らしい、庖丁ひとつで料理の美味しさが変わる「庖丁料理文化」を発信します」
と語る廣瀬さん。
庖丁とは、単なる刃物ではなく。
「包」ではなく本来の「庖」の文字にこだわられているのは、命を繋ぐ古代からの神聖な道具に対する使命を感じておられる、その意志を表されたものです。
また機会を設けて是非お願いしたいと思います。
長い文章、最後までお読みくださってありがとうございました。
内容があまりに深く、まだまだお伝えできてないところはありますが、肝心の守りのお話はまた明日以降。
いつか直接お話お聞き頂けたら嬉しく思います。
「食道具 竹上」
http://kyototakegami.com/
※庖丁を新調したい方は、こちらにご連絡されると制作して送ってくださいます。通販もなさっています。
ステンレスの庖丁を研ぐ際は、こ