金属作品のお手入れ
2013年 07月 20日
今回は金属のお手入れのことです。
金属ってどうやってお手入れすればいいんでしょう…?
というお声をお聞きするのですが、稲垣さんから詳しく教えて頂きました。
「お手入れも楽しみの一つにしていただければ幸いです」とのこと。
(実際、磨いて元の輝きに戻っていくのを見るのはとても楽しかったりします!)
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〈銅・真鍮の取り扱い〉
10円や5円のように、空気に触れていることで酸化皮膜ができくすんできますが、安定した状態になります。その風合いも良いものですが、以下のこともご参考にしていただいてご自分の好きな雰囲気でお楽しみ頂ければと思います。
1. 酸化皮膜のついた状態がお好みの場合
重曹(炭酸水素ナトリウム)で軽く磨きます。
*重曹は薬局、ホームセンターなどでも購入できます。
2.半光沢の感じがお好みの場合
ボンスター(スチームウール)で、一方の方向に磨きます。
洗剤付きのスチールウールで磨くとさらに光沢が。
米ぬかを付けて磨くとワックスの役割をしてくれます。
3.光沢がお好みの場合
2の光沢の後にピカール(金属研磨剤)で磨き、洗剤で軽く洗います。
サンポールなどの酸性タイプの洗浄剤に浸けると皮膜は一気に落ちますが、お取り扱いにはご注意を。
*洗剤は市販の中性洗剤で問題ありません。
*純銅黒仕上げの品物は強く擦ったり酸性タイプの洗浄剤がつくと着色がとれることがあります。
スポンジなど柔らかいものをお使いください。
*いずれの場合も、お手入れ後、水気をよく切って拭いてください。
使用上のご注意
・お酢などを入れると変色する場合がありますのでご注意ください。
・電子レンジはご使用になれません。
〈アルミについて〉
銅に次ぐ高い熱伝導性を持つ素材です(鉄の3倍以上)ので、早くムラなく熱が伝わります。
表面に素材を保護する天然の酸化皮膜ができますが、純度の高いアルミはこびりつかず特に手入れが簡単に出来ます。
・米のとぎ汁か野菜のくずを入れて10分以上煮たてると黒変化を防ぐ皮膜を作ることが出来ますが、お湯だけを沸かす場合やゆで卵を作る場合、また水質によって黒変化する場合もあります。
これはアルミの自然皮膜の侵食防止の性質で、食品衛生上は何の問題もありません。
きれいにするには、レモンを切って煮るか酒石酸(薬局で購入可)を入れて煮てください。
使ったらすぐに水洗いし、水分をよく拭き取ります。
汚れがひどい場合は、ナイロンタワシとクレンザーで磨いてください。
使用上のご注意
・酸性のもの(お酢等)を入れると変色する場合があります。
・鍋やボウルなどは空焚きはしないでください。
・電子レンジではご使用になれません。
また、銅や真鍮の緑青(ろくしょう)の毒性をご心配になる方もおられるのではと思いますが、無害であることが証明されているそうなのでご安心ください。
(参考:日本銅センター)
付いた場合は、お酢で磨くか、ピカール(金属研磨剤)で磨くと落ちます。
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洗ったあと、ガラスや漆と同様にきれいに拭いておくのが大事みたいですね。
使用上のご注意に気を付けて頂ければ、それほど神経質になることはないと思います。
ご自宅の金属製品にも応用していただけると思いますので、是非お試しください。
お話の最後に、元々は気に入った素材ではなかったと言われた稲垣さんに
「今は金属とはどのような存在ですか」
とお聞きしてみました。
「それぞれの癖もわかってきて、今は仲良くなれたと思います。
金属は馴染みが少ない印象がありますが、以外と身近で打ちとければ親しみやすい素材なんです。
心根はやさしいけど、取っ付きにくい頑固な性格のひとみたいな感じかも知れません」
そういう人好きだったりします(笑)
人に例えて考えてみるとより親しみが湧いて愛おしくなってきます…!
また、
「ものづくりとして一番嬉しい時は、買ってくださった時ですね。
言葉で褒めてくださるのも嬉しいですが、使っていただくことで初めて作品が完成するものだと思うのです。それが何よりの喜びです。」
とも。
「買う」ということはお金のやり取りだけでなく、作品を受け継いで育てていくということなんですね…
きっと、それは全てのものづくりの方に共通する喜びなのだと思います。
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ものづくり便り、更新しました。
現在開催中です(遅くなってすみません汗)。
赤磐の921ギャラリーさんにて、陶の菅沼淳一さん・河合和美さん、木×鉄 /の枯白さんです。
「ものづくり便り」
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いつも読んでくださってありがとうございます。
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