加賀さんから、web展に寄せてメッセージが届きました。
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当たり前が当たり前じゃなくなって、初めてその有り難さに気づく。
ともすれば「新しいものを」だとか「誰もやっていないものを」だとか「角度を変えて」、「切り口を変えて」などと、目新しさを追いかけている自分に気づく時があります。
「世の中のスピード」を、それほど意識していないつもりの僕でさえそうなのだから、常日頃から先頭集団を走っておられる人々の苦悩は大変なものなのだろうと想像します。
たくさん売れること、有名作家になること、いいねをたくさん貰うこと。
どれも大切なことだとは思うけれど、どれも最優先事項にはなり得ない。
迷いや葛藤を抱えつつ、自分自身が納得できるものづくりを淡々と、粛々と続けてゆく。
繋がり過ぎるよりも、広がり過ぎるよりも、目と手と心の届く範囲の中でちゃんと生活する。
普段から繰り返し考え続けていることを、今回の新型コロナ騒動を受けて改めて深く感じ入った次第です。
集団心理みたいなものからほんの少しだけ解放され、一人一人の価値観が、本来の意味での多様性が認められ、受け入れられるような日常になればと密かに願っています。
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加賀さんは「木のような人」と私は思っています。
根を張り静かに淡々と。
迷いや葛藤がない訳ではなく、それも内包しながら生きていく。
ともすれば慌ててしまいがちな私は加賀さんの作品や言葉を見るとほっとします。
一年中ずっと飾れる小さなオブジェです。